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イラク戦争に思う
「そういう痛ましい者たちが、僕たちのこの国の中で大量に発生することのないように、僕たちの生活は真剣でなければならない。それから、毅然として考え、毅然として言うべきことは言う人間でなければならないというふうな思いがいたします。そして、短歌という文学は、こういうことをこういうときの中で言わないではいられない、表現しないではいられない文学だと思うんです。」
日本の黄砂に濁る空の果てむごき戦を人は戦う
少年の日の魔法のランプまかがやく炎の中のシェヘラザード
油火を灯し連ねて遊びたる黒衣の姫も滅びなむとす
砂嵐土を削りてすさぶ野に爆死せし子を抱きて立つ母
東京を焼き滅ぼせし戦火いまイスラムの民に再び迫る
コーランの祈りの声は砲声のしばらく止みし丘より響く
焼け原に重なるむくろ目も鼻も焼けとろろぎて虚ろの眼下
名も知らず女男を分かたぬむくろ幾つ焼け原の土に埋めゆきたり
我が二十歳の夜の炎に焼けうせし幻の桜ああ弥生人
かくまでも異教の民を虐ぐる神を許さじと憤り立つ
千年の神の掟に背く者ここ過ぎて暑き砂にさすらへ
ジハードを我戦うと立ち行きて面は幼き者ら帰らず
専制の国といえども若きらは神の戦に潔く死す
我が友の面はつぶさに浮かびくる爆薬を抱く少年の顔
町にみつる阿鼻叫喚の声にすらためらひもなく火を浴びせゆく
かく酷き戦を許し白々と天にまします神は何もの
信厚き大統領は異教徒をはふり尽くして事たるとせむ
草木にも優しく宿る我らが神破れし後も疑わずいぬ
千万の人の死にゆく暁に日本の桜哀れ散りゆく
バグダッド業火に焼くる戦いを病み伏す妻に告げざらむとす
夜を通す氷雨にしとどぬれし身は翼重たく地に立ち尽くす
鍋鶴のひしめく冬田丈高く歩む真鶴を見放ちがたし
北を指し今たちていく鶴群の万羽の声は空をとよもす
去りがたく曙の空飛びめぐり鳴き交わすなり哀れ鶴群
同級の友板倉シン大尉かの日特攻隊を率いてここをたち行きし
特攻機連ね行きたる我が友の幻見ゆる雨の鶴群
海に出て群れ整うる鶴群の大きうねりをはるか見守る
目指し行く北の荒野は草燃えのまだ遠からぬつつがなく行け
戦火ふたたび
やまとたける ここに果てにき。青芦原 大和にむきてひたすら靡く
死をせまる国の運命にしたがひて かの若者ら 命はてにき
うら若く戦ひ死にし友の顔。老いのおぼろの夢にいでくる
いまふたたび 一国の民にせまりくる 死のおののきの身を焦がす朝
キリストか、アツラーか知らず。人間をほろぼす神を 我うべなはず
テポドンのせまる時の間 すべもなく呆れぼれとしてわれらあらむか
意志をもて戦ふはよし。草の芽の萎えゆくごとき 幼らあはれ
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