目次 1. いのち長さの、いとつらう思う給へ知らるゝに 2. 宮は大殿籠りにけり 3. うへもしかなむ 4. 月は入りがたの空あきよう澄みわたれるに 5. をかしき御おくりものなどあるべき折りにもあらねば 6. 命婦は、まだ大殿籠らせ給はざりけると 7. いとかうしも見えじとおぼししづむれど
第1回〜第4回講義 収録講義音声:著作権者 國學院大學院友会 2001
命婦は、まだ大殿籠らせ給はざりけると、あはれに見奉る。おまへのつぼ前栽の、いとおもしろき盛りなるを、御覧ずるやうにて、しのびやかに、心にくき限りの女房四五人さぶらはせ給ひて、御物語りせさせ給ふなりけり。このごろ、明け暮れ御覧ずる長恨歌の御絵、亭子院のかかせ給ひて、伊勢貫之によませ給へる、やまと言の葉をも、もろこしのうたをも、ただそのすぢをぞ、まくらごとにせさせ給ふ。 いとこまやかにありさま問はせ給ふ。あはれなりつる事、しのびやかに奏す。御返り御覧ずれば、(母君)「いともかしこきは、おきどころも侍らず。かかる仰せ言につけても、かきくらす乱りごこちになむ。 荒き風ふせぎしかげの枯れしよりこはぎがうへぞしづこころなき」 などやうにみだりがはしきを、心をさめざりけるほどと御覧じゆるすべし。
7.いとかうしも見えじとおぼししづむれど
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