土屋薫/「天使の声に耳を傾ける現代的方途を探る」

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約35分

1.「レジャー・アセスメント」という研究領域

 ・これまで開発されてきた主なレジャー・アセスメント・ツール
    Leisure Satisfaction Scale(余暇満足度)
    Leisure Boredom Scale(余暇退屈度)
    Leisure Diagnostic Battery(余暇生活診断テスト)
    Intrinsic Leisure Motivation Scale(内発的動機づけ)

 ・「レジャー・アセスメント」からわかるアメリカと日本の違い
    アメリカ人:技術が稚拙→レジャーが楽しくない
    日本人:技術はあるが、レジャーは楽しくない
    ・・・日本人には「Leisure Negative(レジャー活性度陰性)」が存在する
    → どうしたら「陽性」に(レジャーを楽しく)できるか?
      (これが「豊かさ」実現のひとつの鍵/個人的な研究テーマ)

2.レジャー という「熱病」の正体

 ・レジャーとライセンス(免許)の共通性
    ともに「licere(リセレ:ラテン語)」が語源
   → レジャーとは「能力を身につけた者に与えられる自由な心の状態」
 
 ・どうすれば自由になれるか?
    自分を「縛る」もの(ストレス)を忘れること
   → つまり「レジャーとは、何かに夢中になること」
     (ただし、没頭できるまでの技能あるいは集中力が必要)

3.夢中になれるものに出会うということ

 ・「われを忘れる」ものとの出会い
   出合いがしらの「一目惚れ」の場合
   「馬には乗ってみよ」:時間をかけて気づく場合
     ⇒ 一度でも「われを忘れた」瞬間があれば「陽性」

 ・本当に出会えていないのか?
    出会ったことに「気づけて」いるか?
    →必要なのは「出会い」のためのしくみづくり
     =「気づき」のためのしくみづくり

4.「見えるもの」と「見えないもの」:「気づき」について考える 
  〜ヒトは、どのような生き物か?〜

 ・錯乱人(ホモ・デメンス):人間に見えるものは何か
   道具や言葉、二足歩行はヒトの「専売特許」ではない
   ヒトは何故「埋葬」するのか?
   死体が動く「かもしれない」という恐怖(錯誤)
   多義的な意味の発生 = 目に見えないもの・価値の発生

 ・人間活動 = 実際には「見えない」もの を「見る」こと                          

5.「見えないもの」が見えてくる = 「気づく」ということ

 ・例題:日本の国会議事堂の屋根の上に何が見えるか?
   * 伊藤博文の銅像が「見えるはず」だが、「見えなかった」
   *「見えない」のではなく → 情報不足で「気づかなかった」
   *「見える」ということ
     = これまで意識したことのない「つながり」をあらためて意識すること
     = 「気づく」ということ

6.「リアリティ」の所在 : わたしたちに「見える」もの

 ・「全体」が意味するもの
    「部分の集合体以上」の意味を持っている
    「同じ」と「似ている」の違いは何か?
    そもそも「異なる」ものが「同じ」に見えるのはなぜか?
 
 ・「関係性=文脈」のとらえ方で変わってくる
    要素間の関係(=文脈)は見る目的によって変化する
     → 「見えるもの」が「変わってくる」 
    全体の「構造(=構図)」に着目する
     例:「だまし絵」

7.現代における「天使の声」

 ・価値を伝える存在としての天使(エンゼル)
    異質のものと出会う価値を伝えてくれる
    (これまでとは異なる「構図/全体」に導いてくれる)
    つなぐべき価値は時間・空間を選ばない:一義的に決まらない
    時間と空間を越えて「つなぐ」こと:メディアを選ばない
   
 ・現代において天使(エンゼル)はどこに現れるか?
    異質のものと出会う場
    適切なインタープリテーションが、より輝きを与えてくれる
    メディアによる技術的サポートが、より輝きを与えてくれる
     ⇒ インタープリテーションとメディア・コンプレックスの中にこそ潜む天使

8.情報環境という「生態系」

 ・「個体」と「種」と「生物世界全体」
    「動的平衡」:「欠けたピース」の補完というダイナミズム
    ← 種(メディア)による「棲み分け」
    ←多様性を維持するメカニズム:太陽系と地球 = 「開かれた系」であること
   
 ・多様性が維持された情報の「棲息場所」=天使との「邂逅の場」としての「ビオトープ」
    寿命の異なる情報の共存(棲み分けとグレーゾーン)
    パラダイムの異なる情報の共存(棲み分けとグレーゾーン)
    「閉じた系」同士のやりとり = 「開かれた系」
     ⇒  具体的には口コミからマスコミ・ICTまで含めた各種メディア間での情報の「やりとり」
     それこそが天使(エンゼル)が降り立ち、わたしたちにささやく場


参考・引用文献

江戸川大学ライフデザイン学科編,2007,『19歳のライフデザイン』春風社.

福岡伸一,2007,『生物と無生物のあいだ』講談社.

Holyoak,Keith J.and Thagard.Paul,1995,Mental Leaps: Analogy in Creative Thought,MIT Press.
(=1998,鈴木宏昭・河原哲雄監訳『アナロジーの力ーー認知科学の新しい探求』新曜社)

Mannnell,Roger C.and Kleiber,Douglas A.,1997,A Social Psychology of Leisure,Pennsylvania:Venture Publishing,Inc.
(=2004,速水敏彦監訳『レジャーの社会心理学』世界思想社)

水越伸,2006,『メディア・ビオトープーーメディアの生態系をデザインする』紀伊國屋書店.

Morin,Edgar,1973,Le paradigme perdu: la nature humaine,aux Editons du Seuil.
(=1984,古田幸男訳『失われた範列 人間の自然性』法政大学出版局)

日本レクリエーション協会編,2001,『レジャー・カウンセリング』大修館書店.

鈴木博之,1999,日本の<地霊(ゲニウス・ロキ)>,講談社.

土屋薫,2006,「豊かさを感じる『技術』に関する考察ーーレジャー行動モデルからのアプローチ」『 江戸川大学研究紀要 情報と社会 』16: 41-49.

吉井博明編著,2007,『メディアエコロジーと社会』北樹出版.



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土屋薫


天野正子

筑波大学大学院教育研究科修士課程修了。青森大学社会学部専任講師、同助教授を経て、江戸川大学社会学部助教授、2008年より同准教授。日本レジャー・レクリエーション学会所属。レジャー・アセスメント・ツールをベースに、ストレス対処能力に着目したレジャー行動モデルを研究中。IT技術を用いたビジュアライゼーションによる観光レジャープログラムづくりを研究中。 またレジャー活動のフィールドとして、自ら音楽活動を実践している。
。主な著書:『19歳のライフデザイン』(春風社:共著)『レジャーの社会心理学』(世界思想社:分担訳)『社会福祉選書 15 社会学』(建帛社)『転換期の地方都市と福祉コミュニティの可能性』(梓出版社:共著)『情報文化と生活世界』(福村出版:共著)など。





本ホームページでは、2009年6月29日、エンゼル財団理事会・評議員会で開催された土屋薫先生ミニフォーラム「天使の声に耳を傾ける現代的方途を探る」(約35分)の模様を、ブロードバンドビデオで配信しています。

土屋薫先生ミニフォーラム「天使の声に耳を傾ける現代的方途を探る」
開催:2009年6月29日 会場:森永プラザビル 
主催:財団法人エンゼル財団

© 収録映像:著作権者 財団法人エンゼル財団

講演者の肩書は開催当時のものです


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土屋薫先生ミニフォーラム 「天使の声に耳を傾ける現代的方途を探る」 2010© 財団法人エンゼル財団